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のべつまくなし

哲学と人生

セロトニンシステムについて1

 

セロトニンとは

セロトニンとは、脳内物質であり、主に私達の「睡眠の質」と「活動レベル」を左右します。私達が「よく眠れて」「活発に活動できる」とき、脳内ではセロトニンが正常に分泌されています。セロトニンが幸福ホルモンなどともいわれるゆえんですね(厳密にはセロトニンはホルモンではなく脳内物質です)。

そしてセロトニンシステムとは、セロトニンを生み出したり受容したりする神経の仕組みです。

セロトニンの働きを更に細かく見ると、次の5つに分けることができます。

  1. 脳を覚醒させる
  2. - 頭がスッキリと冴えた状態を一日キープする
  3. 精神を安定させる
  4. - 心が安定して前向きになる、集中力が保つ
  5. 自律神経を整える
  6. - 寝起きと寝付きが良くなる(交感神経と副交感神経のメリハリが良くなる)
  7. 姿勢筋の働きをうながす
  8. - 良い姿勢、良い表情になる
  9. 体の鎮痛剤として作用する

では具体的に、これらのセロトニンの働きと、うつっぽさとを結びつけて考えてみましょう。

うつっぽいのはセロトニンが足りないから?

セロトニンは幸せホルモンと呼ばれるくらいですから、幸福感が欠如していてうつっぽい人はまずセロトニンが正常に分泌されているかを確認する必要があります。

何らかの原因でセロトニン分泌が妨げられ、上記の5つの働きが失われたらどうなるでしょうか。

1.脳が覚醒しない

目覚めても脳が睡眠時の状態を引きずり、かすみがかったような思考のまま一日中なんとなく過ごすようになります。意欲も慢性的に低くなりがちです。

2.精神が安定しない

落ち込み、いらだち、不安感、やるせなさに思考が支配され、ちょっとしたことにも一喜一憂し、感情を抑制することが困難になります。

3.自律神経が乱れる

自律神経は交感神経副交感神経にわけられます。この2つの神経はそれぞれ、活動休息緊張リラックス労働回復といった正反対の活動の際にメリハリ良く切り替わって働きます。自律神経が乱れるとそのメリハリが失われます。

寝転がっているのに疲労が回復しない。なんとか起きて家事をしようとしてもすぐ疲れてしまう。生活がどんどん効率的でなくなっていってしまいます。

4.姿勢筋がゆるむ

背筋が効果的に働いてくれないので猫背になり、血行不良から精神や身体にさまざまな悪影響(倦怠感、疲労感、目の疲れ、肩こり、腰痛など)を及ぼします。

また、顔にも表情筋という多くの筋肉が張り巡らされていますから、それらが弛緩し、締まりのない表情になります。

5.痛みに敏感になる

例えば偏頭痛持ちの方などは、セロトニンの分泌量が少ないために、本来より余計な痛みに苦しんでいる可能性があります。他の怪我や身体のコリなどに対しても同じです。

セロトニンの正常な分泌に必要なこと

それでは、なぜセロトニンは分泌されなくなってしまうのでしょうか。

脳内でセロトニンが正常に分泌されるには、3つの条件があります。

  1. ストレスが少ない
  2. 太陽の光を浴びる
  3. リズム運動をする

これらは、ある1つをたくさんやれば他は必要ない、というのではなく、3つともやる必要があります。

1.ストレスが少ない

セロトニンシステムはストレスに弱く、継続的なストレスにさらされることでその働きが鈍くなります。

もしあなたが何かに悩むのなら、一旦考えるのをすっぱり辞めるのが良いでしょう。ストレスはますますあなたの脳のセロトニンシステムを蝕み、心身の健康は損なわれるでしょう。そのような悪循環の中で悩み抜いたところで、あなた本来の前向きな結論にたどり着くことは困難です。

ストレスを回避することがどうしても難しい場合は、そのストレスを回避する方法をなんとしても探し出すのがスタートになります。

セロトニンシステムが快調になるまで、生活を自己規律的にする必要はありません。あなたがストレスを感じないことを最優先させてください。それがセロトニン分泌の絶対条件なのですから。

もちろん、生きていくためにはずっとストレス0という訳にはいきませんから、「ストレスを管理する」という次のステップへはやがて進んでいく必要があります。腰を据えた長期的な視点に立ち、徐々に健康になっていくという気持ちが大切です。

2.太陽の光を浴びる

セロトニン分泌の為には、2,500ルクス以上の強さの光を浴びなければなりません。室内環境では1,000ルクスを超えることがまずありません。それに比べて太陽光は曇りの日でも5,000ルクス以上、晴れの日では10,000ルクス以上ですから、いかに太陽光が明るいかわかります。

人間が室内でうつっぽくなるのは、植物が日陰で光合成できずに枯れていくのと同じようなものです。健康な生活には太陽光が絶対必要なのです。

必ずしも、外に出て全身で太陽光を浴びる必要がないのがポイントです。重要なのは網膜への刺激です。朝窓を開けて朝日を眺めるだけでも、2,500ルクスの基準値を満たせます。

3.リズム運動をする

リズム運動とは、筋肉を規則的に動かすことです。ウォーキング、ランニング、自転車に乗るなどの全身運動はもちろんのこと、楽器の演奏、リズムゲーなども有効です。意外なところで、ものをよく噛んで食べる、拭き掃除、というのもリズム運動としてセロトニン分泌に有効です。

そのうえで栄養を整える

上で紹介したセロトニン分泌の3条件は、いわば大前提です。セロトニンといっても物質ですから、魔法のように脳内から湧き出すわけではなく、合成するためには材料が必要です。

セロトニンの原料は、トリプトファンと呼ばれる必須アミノ酸です。セロトニンそのものは食事からは摂取できず、体内で合成しないといけないのです。

加えて、セロトニンの効率的な合成にあたり、ビタミンB6マグネシウムナイアシンといった栄養素が必要になります。

関連: セロトニンシステムのための食事

面倒くさい…

これらの知識を頭に入れたところで、実践するのが億劫なのがうつというもの。

ひとまず

  • 朝、窓を開けて朝日を見る
  • (ベッドで寝そべったままでもいいので)とにかくガムを噛む(噛みすぎは禁物)

これだけに絞ってやってみてください。効く人には効きます。

そして、たとえ微々たるものでも効果を感じたらしめたものです。発達障害傾向のある人にとっては、「自分の身をもって正しいと判断する」ことが何より大切だからです。

一度努力の方向性が正しいと信じることができたら、あとは生来の気質も手伝って、セロトニンシステムの回復に意識が向き、意欲も湧いてきます。

精神障害との関連

自分の中の思い込み、固定観念が根強いと、「こんなのもう試した上で効果がないんだよ」「私のうつ病は精神的な原因があるのだから、体が健康なことに意味はない」と、セロトニン重視の療法のような生理的アプローチを侮る傾向があります。

そういう方はこう考えてみてはどうでしょう。「正常なセロトニンシステムは健康であるための必要条件であって、十分条件ではない」つまり、「セロトニンシステムが正常でも不健康なことはあるが、不健康ならとりあえずはセロトニンシステムの正常性を確認するのが、健康への第一歩」という考え方です。

「とりあえずセロトニンシステムを万全にしてから他の問題に臨めばいいんじゃない?」ということを私は言いたいのです。セロトニンシステムとは、それくらい私達の心身において根本的なものです。

まず物理的に元気になる。それから、精神的な問題の解決に立ち向かう。私達が悩み抜くような人間関係、人生といった問題に比べれば、セロトニンを分泌させるなんてただの物理現象ですから、思うがままです。「人間ってそういう仕組みなんだ」と理解し納得するだけです。ただの物理現象ですから、努力に対して成果が与えられるのも早いです。

おわりに

このサイトでは引き続き、セロトニンシステムについてより詳しく、深く、特化して取り上げていきたいと考えています。

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